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コラム

大舞台で堂々と発表する生徒たちの姿に高まる未来への期待感|第5回 福岡県ワンヘルス国際フォーラム|福岡県福岡市

新型コロナウイルス感染症をはじめ人獣共通感染症などに対して、医療や獣医療、環境など各分野世界トップクラスの研究者がワンヘルス・アプローチによる解決を目指し、研究成果を世界に発信する場として、令和2年度(2021年)から毎年福岡で開催されている「福岡県ワンヘルス国際フォーラム」。今回(令和6年度)、第5回では「ワンヘルスで切り拓く私たちの豊かな未来」をテーマに、福岡県内の生徒たちが活動内容を発表するというので、その様子をのぞいてきた。

場所はアクロス福岡 国際会議場。生徒たちの発表は午前の部というので、朝から会場入りしたところ、すでに多くの来場者で賑わっていた。国際フォーラムで基調講演を行う、世界獣医師会会長ジョン・デ・ヨン氏や元国際獣疫事務局会長マーク・シップ氏、アジア大洋州医師会連合会長マリア・ミネルバ・P・カリマグ氏をはじめとする、多くのワンヘルスの専門家が参加されるという、大人でも壇上に立つのをためらうような状況に、生徒たちは大丈夫であろうかと、勝手に心配してしまっていたが、杞憂に終わる。発表前は遠目にも緊張した様子が見られた生徒たちだが、いざはじまると大勢の大人たちを前にしてじつに堂々した発表を見せたのだ。今回の発表に向けて相当練習を重ねてきたのであろうことが伺える。

発表校は福岡農業高校、山門高校、博多高校、リンデンホールスクール中高学部の4校。福岡農業高校は学生たちによる「食育」教室やふれあい動物園活動、田植えや山林実習などの様子について。山門高校は部活動「Oneヘルスクラブ」でのニホンウナギの生態調査を通して、保護環境づくりや自然環境を守る取り組みについて。博多高校は看護科の学生たちによるセラピードッグ体験から考える動物との共生についてや、普通科の学生たちによる野生の生き物との共存について。リンデンホールスクール中高学部は都築学園の豊かな自然環境を活用した取り組みや海外研修を通して得た学びなどについて、と各校それぞれ特色ある活動内容やそこで得られた学びを発表していた。

なお、会場外の通路には発表校を含めた20校以上のワンヘルスの取り組みに関するポスターがずらりと展示がされており、教育現場がこれほどワンヘルスに興味関心があるのかと驚かされる。人と動物、環境の健康を一体的に捉え、分野横断的に協力、連携して取り組むというワンヘルス。日本の、世界の未来を担う生徒たちが今からその考え方に触れていってくれているというのは、何とも頼もしいかぎりだ。せっかくならそれぞれの高校を訪問して、発表では語り尽くせなかった活動内容や今後の展望などを深掘りしていきたい。

筆者:堀本 一徳(FCP 編集長)

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