2025年5月現在、日本で“本格的”と表現できるイングリッシュガーデン(イギリス式の庭園)は2カ所しか存在しない、と言われているのをご存知だろうか。ひとつは1990年、今から30年以上前に日本初の本格的イングリッシュガーデンとして開園した長野県茅野市の蓼科高原バラクライングリッシュガーデン。そしてもうひとつが福岡県太宰府市の都築学園にあるTG Rose Garden。どちらも全国のイングリッシュガーデンファンを魅了してやまないスポットであるが、今回は“学び舎の一角にある”というその特殊な環境もまた興味をそそられるTG Rose Gardenにおじゃましてきた。

都築学園といえば、日本経済大学や福岡こども短期大学、リンデンホールスクール中高学部・小学部などなど多様なグループ校をもつ日本有数の教育機関として有名。TG Rose Gardenはその敷地内にあるわけだが、よくある学び舎の一角のちょっとしたガーデンとはわけが違う。敷地はおよそ30,000坪。長野県茅野市の蓼科高原バラクライングリッシュガーデンの敷地がおよそ3,000坪というから、実に10倍の規模だ。

では、中身の方はどうかというと、イギリス王家直営のガーデナーを招き、本場イギリスからガゼボやウッドテラス、石像、さらにはレンガひとつにいたるまでありとあらゆる資材を運び入れ、3年の歳月をかけ造成したというこだわりっぷり。かつてこの地は江戸時代からの灌漑(かんがい)用水のためのため池であったとのことだが、今ではバラをはじめ約160種類・13万本もの四季折々の草花が庭園内を彩る。

さて、事前のリサーチはこのくらいにしよう。門をくぐるとまさにそこは……“異国(イギリス)”だった。おじゃましたのは、春バラが見ごろの5月頭ごろ。これまでバラというと花屋の店頭に並ぶ姿しかまともに目にしてこなかっただけに、蕾からしっかりと花弁が開いた姿の豪華さたるや、これほど美しいものだったのかと驚く。

ちなみに、TG Rose Gardenは野鳥も見どころのひとつ。この時期は池を棲家とするコブハクチョウたちの子育てシーンが見られるとのことで、楽しみにしていたのだがまだすこし早かった。近くにいたマダムたちに話しかけると、ハクチョウのヒナはふわふわで愛らしく、毎年楽しみに通っているのだと。私も来年こそは、と思う。
【外部リンク】イングリッシュガーデン・TG Rose Gardenの公式情報はこちら
【年間の開花情報】
| 春(3〜5月) | バラ、シャクナゲ、ユリノキ、ムスカリ、クロッカス、スイセン、ほか |
| 夏(6〜8月) | ハス、アジサイ、アカンサス、ショウブ、アガパンサス、ほか |
| 秋(9〜11月) | バラ、ヒガンバナ、パンパスグラス、シュウメイギク、ほか |
| 冬(12〜2月) | クリスマスローズ、スノードロップ、ほか |












