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芸術

八女手漉き和紙から生まれる繊細かつ温かみある切り絵で魅了する|くろくも舎|福岡県八女市

八女市福島白壁通りのとある古民家を利用した切り絵アトリエ、くろくも舎。400年以上の歴史をもつ八女手漉き和紙を用い、下書きからカットまですべて手作業によって生まれる作品はどれも繊細で美しく、それでいて和紙ならではの温かみがあり、見る者を魅了する。今回は、202517日から29日にかけて福岡県筑後市の九州芸文館で切り絵作家15周年記念展を開催中の松原さんに、切り絵作家をつづけてこられた原動力や今後挑戦してみたいことなどを伺った。

切り絵作家松原さんのはじめての作品

自宅の古民家でできることが切り絵だった

– 切り絵作家になる経緯を教えてください

松原さん:はじまりは知り合いに頼まれてでした。ただ、はじめての作品が想像していた以上に大変で、当時はもう二度と切り絵は作らないと決意したのを覚えています。それからしばらく切り絵から離れていたのですが、昔から自宅の古民家で何かしたいなと思っていまして、切り絵の展示であれば手軽にはじめられるのではと再開することにしたのです。

自宅兼アトリエで作品を展示してみたところ、思いのほか来ていただいた方たちからご好評いただけて、口コミでちょっとずつ作品が広まっていきました。ちなみに、アトリエ名につけたくろくも舎というのは、古民家の自宅に蜘蛛がよく出没するからです。(笑)

– はじめから八女の手漉き和紙を使っていたのですか?

松原さん:再開したばかりのころは一般的な西洋紙を使っていまして、あるとき手漉き和紙職人の方と知り合ったのをきっかけに八女手漉き和紙の存在を知りました。正直、はじめは和紙は扱いが難しいもの……と先入観があったのですが、試しに使ってみたところすごく切りやすく、和紙の温かな質感も気に入りまして、それからは愛用しています。

活動の原動力は子どもとの暮らし

– 15年以上もつづけてこられた原動力は何ですか?

松原さん:切り絵そのものの楽しさや、やりがいはもちろんあります。でも、一番は子どもとの暮らしのためです。子どもが小学6年生のとき、これまでの仕事をやめて切り絵作家に転身しました。ひとり親家庭で、子どもとの暮らしがかかっているなか日々、作品作りに没頭し、土日になるとギャラリーで展示販売する、ということをがむしゃらにつづけてきました。きっとただの趣味として切り絵をしていただけでは、ここまでつづけてこられなかったと思います。

– 現在はどのような活動をされていますか?

松原さん:年に2回、八女市の伝統工芸館と福岡市のジュンク堂書店福岡店で恒例の展示会を開催させていただいております。そのほかにも友だちのお店を借りて展示会をすることもあります。展示会ごとにテーマを決めて作品を揃えますので、毎回趣の異なる作品の数々を楽しみに、ぜひ何度でも見にいらしてください。ちなみに、展示会のスケジュールなどはSNS@kurokumoshaで発信していますので、フォローもお願いしますね。(笑)

切り絵作家活動15周年の記念展示会を開催中

– 15周年記念の展示会について教えてください

松原さん:九州芸文館で17日から29日まで展示会を開催しています。実は、はじめこのお話をいただいたときはお断りしたんですよ。以前から九州芸文館のことは知っていまして、魅力的な場所ですのでやってみたい気持ちはありました。ただ、普段しているような展示のやり方が難しいとのことでお断りしたわけです。そうしましたら館長をはじめ九州芸文館側でいろいろと考えてくださいまして、皆さまの本気の気持ちに感激しましてお引き受けすることにしました。

ただ、それからの準備は本当に大変でした。大きな作品からブローチなど小さなものまで約100点の作品を展示しています。ほかの会場で展示中のものや、友だちが所有しているものなども借りてくる必要があり、作品を集めるのに多くの方々の助けをお借りしました。でも、いざはじまってみますと、常連の方からはじめての方まで毎日多くの方々に来場いただきやってよかったなと。それこそ本業にする前、初期の作品を購入してくださった方も来てくださいまして、そのときの作品を今も自宅に飾っていただいているとお聞きしたときはとても嬉しかったです。

活動の場はさらに広がり海外も視野に

– 今後、作家として挑戦したいことを教えてください

松原さん:今はグッズ作りに精を出しています。絵本作りにも挑戦中で、ストーリーから私が考えているんですよ。また、今回の九州芸文館の展示会で大きな会場ならではの魅力を実感しまして、今後もさまざまな会場で企画してみたいなと意欲が高まっています。そして先日、韓国の友だちから「韓国で展示会をしてみませんか」と誘われまして興味がありますし、韓国に限らずほかの国でももし機会をいただけるのならぜひ海外での展示会もやってみたいです。

【取材対象者情報】

業種芸術
事業所名くろくも舎
担当者名松原 真紀
所在地福岡県八女市福島白壁通り
SNShttps://www.instagram.com/kurokumosha/

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