スマートフォンやパソコンの普及により知らず知らずのうちに目を酷使している人が多い今の世の中。目の疲れがさまざまな不調をまねくことに着目し、目に特化したアイケアの手技を生み出したセラピストがここ福岡県筑後市にいる。アイケアで人々の体の不調をただ癒やすだけでなく、アイケアセラピストの育成を通して自分らしく働きたい女性の自立支援にも力を入れている日本アイケアセラピスト協会の代表理事である江島さんにその活動内容と今後の目標についてお話を伺った。

江島さん
会社員からセラピストの世界へ
– はじめから目が専門のセラピストをされていたのですか?
江島さん:いいえ。以前は保険会社で営業の仕事をしていました。友人がサロンをはじめると聞いて、私もセラピストに興味があったので勉強しました。ただ、勉強したからといってすぐにセラピストだけで生計をたてるのは難しかったので、しばらくは会社に勤めながら自宅でサロンをしていたんです。当初はコルギ(韓国発祥の美容法。骨や筋肉に圧力をかけ血行やリンパの流れを改善する施術)をしていたのですが、やっているうちに知りたいことが増えいき、体のことを学ぶためにリンパマッサージを、骨のことも知りたいと整体を、さらにはヘッドマッサージをと学びの幅を広げてきました。
– アイケアをはじめた経緯を教えてください。
江島さん:スマートフォンが普及しだしたころ、首や肩のこりで来店されるお客さまがすごく多くなったんです。私は体のこりや痛みがどこから来ているのかを考えるのが謎解きをしているようで好きで、あるとき首や肩のこりのお客さまのおよそ8割が目の周りと頭のケアだけで改善することに気づきました。
一般的に目に悩みがあっても、ほとんどの方は目薬くらいしかしないですよね。そこで正しく目のケアができるように、目の疲れに特化した手技を作ることにしました。実際に手技を受けていただくと目の疲れ、首や肩のこりはもちろん、人によっては足が軽くなったり、腕が上がるようになったりと全身に変化が表れるので皆さまびっくりされます。

目のケアを日本全国へ伝える指導者に
– アイケアセラピストを養成するスクールをはじめたのはなぜですか?
江島さん:最初はサロンのメニューのひとつとしてアイケアをはじめまして、これを広めていこうとか、誰かに伝えようとは思っていませんでした。でも、つづけていくうちに「教えてほしい」と言われることが多くなり、それならスクールをつくってみようと2017年から指導をはじめました。そうしてしだいに生徒の数が増えいき、より手厚く生徒たちのサポートが出来るようにと、2019年に日本アイケアセラピスト協会という団体を立ち上げました。現在はアイケアセラピストだけでなく、手技を教えられる認定講師の育成もしていまして、これまでに13人の認定講師が誕生しました。認定講師たちが日本全国で新たなアイケアセラピストの育成や、アイケアの重要さを広めていってくれています。
– どのような方が習いに来られるのですか?
江島さん:仕事として独立したい方はもちろん、家族にアイケアをしてあげたい方、目が疲れているから自分にやりたい方などいろいろな想いで習いに来られます。奥さまにしてあげたいと習いに来られた男性もいらっしゃいました。
これまで35都道府県で約280人にお伝えしてきました。すぐにサロンを開業する方もいれば、副業にしている方もいます。アイケアはクリームなどの材料が必要なく、手軽にはじめられるのも魅力のひとつです。椅子ひとつあればすぐにはじめられるので、マルシェなどのイベント会場でもできます。イベントで短時間のメニューから挑戦して経験を積み、それから自分のサロンを開業するという方も多いですね。

マッサージボランティアで笑顔を届ける
– 病院でボランティアもされているそうですね。
江島さん:はい。独立型ホスピス・緩和ケア病院 みどりの杜病院で患者さまたちに手当てを提供しています。こちらは先ほどのアイケアとはまったく別の手技でして、患者さまに少しでも心身を癒やしてもらえるように考えた全身に触れる手当てです。
みどりの杜病院は以前、母を看取った際にお世話になった病院でして、そこの方がマッサージができるボランティアを探していると聞き、お手伝いすることにしました。また、患者さまのご家族にこの手当ての方法を教えて一緒にマッサージをする活動もしています。
ちなみに今、この手当ての方法を一般の方にも広めていけるよう準備を進めているところです。

アイケアで自分もまわりも幸せに
– 今後の目標を教えてください
江島さん:世の中には「いつか独立してみたい」「なにかに挑戦してみたい」と思いながらも「私にはどうせ無理だから」とあきらめてしまう女性がまだたくさんいるように思います。私はそういった方がひとりでも一歩踏み出せるよう、夢を叶えられるよう応援したいのです。すでにその一歩を踏み出して、頑張ってくれているスクールの生徒たちを見るのが本当に嬉しいので、これからも私個人として何ができるのか、協会として何ができるのかをつねに考えて全力でサポートしていきます。
また、みどりの杜病院でボランティアをしていると、好きなことを好きなときにできる、そのことがどれだけありがたいことなのかしみじみと感じます。アイケアセラピストは人に喜んでもらえる仕事ですし、独立も目指せる仕事です。アイケアセラピストという仕事が、自分らしく毎日、笑顔で過ごすための選択肢のひとつとなればいいなと。多くの女性たちが好きなことに挑戦して、自分も、周りも幸せにしながら人生を楽しんでいってほしいなと思います。お客さまもセラピストも、アイケアにかかわる全員が笑顔になってもらうことが私の目標です。
【取材対象者情報】
| 業種 | 福祉 |
| 事業所名 | 一般社団法人日本アイケアセラピスト協会 |
| 担当者名 | 代表理事 江島 恵美 |
| 所在地 | 〒833-0001 福岡県筑後市一条645−1 |
| 連絡先 | 0942-52-6040 |
| HP | https://www.ject-eye.com/ |
| SNS | https://www.instagram.com/eyecare_therapist |





