人と動物、環境がともに幸せな世の中を目指して

林業

家具で人を輝かせ未来へとつなぐ|手作り家具工房日本の匠株式会社|福岡県三潴郡大木町

日本一の家具生産地として知られる福岡県大川市。今回は、家具の仕様だけでなく職人の働き方までも柔軟にカスタマイズし、未来を見据えた活動をつづける手作り家具工房 日本の匠株式会社の森田代表に、大川家具の興りから創業までの道のり、強みであるセミオーダー家具、そして今後の展望について伺った。

代表 森田さん

大川家具と職人の歴史を紐解く

– まずは大川家具の歴史について教えてください。

森田さん:室町時代後期、時の将軍・足利義晴の家臣の弟である榎津久米之介(えのつくめのすけ)が兄の戦死後に出家し、戦火を逃れて京都から大川へやってきたことがはじまりです。榎津氏は家臣たちの働き口として船大工の仕事に目を付けました。当時、大分県の日田を源流とする筑後川はこの一帯の物流を担っており、船づくりが盛んだったのです。榎津氏が港で船を作る船大工たちの技術を家臣に学ばせたこと、それが大川家具の興りと言われています。

– 当時、大川家具の担い手はどのような方たちだったのでしょうか?

森田さん:昔から大川の木工は、家内工業で成り立っています。戦後の日本では、長男が家を継ぎ、次男以降は産業のある街へと丁稚奉公(でっちぼうこう)に出るのが一般的でした。大川も同様で、周辺地域に住む血気盛んな次男たちが産業のあるこの地に集まり、先輩職人の背中から技術を受け継いでいったのです。私の祖父もまさにそうで、八女市から大川に出てきたひとりの若者でした。

創業までの歩みと、人と家具が繋いだ縁

– お爺さまの代から一族で経営されてきたのですか?

森田さん:はい。祖父が1950年に製造メーカーとして森田木工所を創業しました。父も元々は祖父の会社を継いでおり、1990年代当時は大川で一番大きな規模を誇っていました。しかし、バブル崩壊とともに厳しい時期がつづきまして、このままではよくないということで父は祖父から継いだ会社を退き、自身で木工の企画会社を立ち上げたと聞いています。

– 森田代表も、最初から木工業界に入られたのでしょうか?

森田さん:いいえ。私が木工業界に携わるようになったのは22歳からです。当初は祖父の会社に入ろうと東京から戻ってきたのですが、「(経営が悪化している今、親族を入社させるのは)世間が許さんよ」と祖父に断られてしまいまして……(笑)。母に相談したところ父の会社をすすめられ、入社後は企画や営業を担当していました。

– その後、独立・創業された当時の様子を聞かせてください。

森田さん:独立当初は、父の会社の商品を仕入れてネットで販売していました。ただ、当時はまだ父の会社の業績もあまりよくはなく、親子関係は絶望的で……。家族の生活をよくしたい一心で会社を興したはずなのに、それが原因で関係が悪化するなんて矛盾していますよね。

– そこから現在に至るまで、体制にはどのような変化がありましたか?

森田さん:創業当時は妻と2人で経営していましたが、2010年頃から手が回らなくなりました。現在は正社員7名、再雇用(65歳以上の方)22名の体制で稼働しています。人が足りずに困っていたとき、ふと立ち寄ったハローワークで、かつて父の会社で働いていた60歳過ぎの職人さんと再会したんです。「年金だけでは食べていけんし、何か仕事はないかな」と言われたので、「じゃあ、うちに来ますか?」と誘ったのがきっかけです。そこから芋づる式に……と言いますか、ご縁がつながってベテラン職人が増えていきました(笑)。今では、働いてくれている皆が「うちの会社の商品、絶対にいいよ!」と家族や友人にすすめてくれるような、そんな家具作りと人間関係が築けています。

「日本の匠」の技と、これから目指す未来

– 御社が大切にされていることを教えてください。

森田さん:商品面では、セミオーダーでお客さまの好みに合わせ、コンセントなど必要な機能をプラスαでカスタマイズできる点が特徴です。これは、長くモノづくりに携わってきた職人たちの柔軟な対応力があってこそ実現できています。また、社内的には「年代ごとに汗のかかせ方(輝き方)を変える」という考えを大切にしています。ベテランには技術を、若手には力を、という適材適所の配置が弊社の強みになりました。そして何より、関係してくださるすべての方々の幸せを考えること。「お客様第一主義」「家族第一主義」というミッションを、家具というツールを通して実現できるよう日々努力しています。

– 今後、代表個人または会社として目指しているものは何ですか。

森田さん:若い人たちが「ここで努力したい」「活力をもって生きたい」と思えるような会社にし、大川という街全体も盛り上げていければと考えています。また、弊社は「日本の匠」という社名を掲げていますので、ゆくゆくは海外展開により外貨を獲得できる企業に成長させたいです。その準備として「FSC認証」を取得しました。これは「適切に管理され、不当な労働搾取が行われていない森林の木材のみを使用している」という、持続可能な未来を考えた厳しい国際基準です。泥臭く見えるかもしれませんが、「だから日本の匠の家具がいいよね」と言ってくださる方をひとりでも増やしていき、未来に残す価値のある会社になりたいと思っています。

【取材対象者情報】

業種木工
事業所名手作り家具工房日本の匠株式会社
担当者名森田 英友
所在地〒830-0405
福岡県三潴郡大木町横溝522
サイトhttps://www.kagucoco.jp/

RELATED

PAGE TOP